ボケ感はこんなに違う?フルサイズ VS APS-C ~センサーサイズとF値(絞り値)の関係~

みなさんもフルサイズの方がボケるという話をよく耳にすると思います。
では実際どのくらいボケるのでしょうか?
よく聞く話として、フルサイズとAPS-Cを比べると、だいたいF値で1段分くらいAPS-Cの方が暗くなるって言いますよね。聞いたことないですか?

でもこれって、どういうことかと言うと?


【明るさ比較】

フルサイズ + F2のレンズ ≒ APS-C + F2.8のレンズ
ということです。(だと思います)

つまりAPS-Cのカメラでフルサイズと同じような明るい写真を撮りたい場合、F値が1段明るいレンズを使う必要があるということです。
なぜ、ここで「明るさ」と限定して表現したかと言うと…、
「ボケ感」に関しては、別だからです!


フルサイズとAPS-CのF値の違いで、

明るさはF値1段分くらいの差があるのだから、

ボケ感も同じで1段分なんじゃないの?

つまり、
フルサイズF1.8の明るさとボケ感をAPS-C機で実現したければ、
F1.4のレンズを使えば良いんでしょ?

そんな風に考えている時期が私にもありました。(笑)

実は、フルサイズとAPS-Cレンズでは、
ボケ感の差分は数字で「約倍」くらいの違いになるんです。
例えば、APS-CでF2のレンズを使った場合、

フルサイズでF4のレンズを使うのと同じくらいのボケ感になるということです。

これがAPS-Cよりもフルサイズがボケると言われる数字に基づいた事実です。

【ボケ感比較】

フルサイズ + F2.8のレンズ ≒ APS-C + F1.4のレンズ

『フルサイズ:APS-C』比較表

フルサイズ:APS-CフルサイズAPS-C
項目フルサイズを1とした場合の差分基準(例)
フルサイズと同じにするには?
画角1:1.5倍望遠
75mm
50mm
※50×1.5=75
明るさ1:F値1段分ほど暗い
F2.8
F2
※F2の次はF2.8(?)
ボケ感1:F値の数字約2倍分ボケにくいF2.8
F1.4
※1.4×2=2.8
フルサイズを基準とした場合にAPS-Cで同じ様な写真を撮るためのそれぞれの数字

F値について

F値は絞るほど暗くなる

例)F値開放=1.4

F値開放F値を絞る
F値が小さいF値が大きい
明るい暗い
ボケるシャープになる
1段ずつの変化
F1.4 F2 F2.8 F4.0 F5.6 F8 F11 F16 F22

1/3段ずつの変化
F1.4 F1.6 F1.8 F2 F2.2 F2.5 F2.8 F3.2 F3.5 F4 F4.5 F5 F5.6 F6.3 F7.1 F8 F9 F10 F11 F13 F14 F16 F18 F20 F22

※より詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
https://bloomdesign.jp/studio-top/360panorama_shoot_ev/

APS-Cのカメラを使用して、フルサイズのF2.8以上のボケ感を作りたい場合、

F1.2とかのレンズを使用する必要が出てきてしまいます。。。

これってかなり現実ではないですよね。。。。

調べてもらえばわかりますが、F1.2とか実用的な金額や重さじゃないんですよね。。。

ただし、上記はあくまでも被写体との距離、

写真内での被写体のサイズを同じにした場合の数字になります。

APS-Cのカメラでも、
被写体にめちゃくちゃ寄って撮るなどすれば
かなりのボケ感を稼ぐことができます!

より詳細な内容を知りたい方は、

Hiroaki Takahashiさんの「平日写真++」の記事を読んでみてください!

29.フルサイズはAPS-Cよりもどの程度ボケるのか…計算してわかったこと①|平日写真++

30.フルサイズはAPS-Cよりもどの程度ボケるのか…計算してわかったこと②|平日写真++

私も、この記事を読むまで完全に勘違いしていましたw😅

話を戻しまして、

それでは、APS-Cよりもフルサイズの方が優れているということなのでしょうか?

あくまでも私の個人的な意見ですが、

どっちが良いというのは、

どのような写真を撮りたいかによって変わると思います。

どのようなシーンでどのような写真を撮りたいかによって、

どっちが優れているは180°変わってくるということです。

TOPの写真にも載せていますが、私はフルサイズ「sony a7c」APS-C「sony a6700」を所持しています。

子供を撮ったりなどボケ感を意識したい写真を撮る時や、

仕事で使う場合はフルサイズ「sony a7c」をメイン、

サブ機としてaps-c「sony a6700」使用しています。

逆に、野鳥撮影ではAPS-C「sony a6700」の一択です。

野鳥撮影でAPS-C一択な理由は、同じレンズを使っても焦点距離が稼げるからです。

フルサイズ用の600mmのレンズをAPS-C機で使うと、

1.5倍クロップされる為、

900mm相当のレンズとして使うことができます(※)。

※光学的な限界などがあると思うので、実際に900mmとして設計されたレンズに比べれば画質は劣るんじゃないかなと思ってます。

そして「平日写真++」さんの記事を読んでさらに気づいたのですが、

同じF値でもボケにくいAPS-Cの方が、

野鳥などの上下左右前後に動き回る被写体を撮る場合には都合が良いということです。

ボケやすいというのは、ピントが合う領域(被写界深度)が狭いということです。

※F値(絞り値)と被写界深度の説明はこちらの記事がおすすめです
https://www.nikon-image.com/enjoy/phototech/manual/04/04.html

例えば子供の写真を撮る場合など、被写界深度が狭い方が、ふわっと、とろける様なボケ感のある、写真の方がより可愛さを引き立てることができますよね?
なので、まるで写真屋さんで撮ってもらったようなふわっととろける写真を撮れるフルサイズの方が、そのような場合には好まれる傾向にあると思います。もちろん好みによると思いますが。

逆に野鳥撮影の場合は、野鳥の全身の羽毛がしっかりと鮮明に写っている写真の方が良いとされます!

ヒレンジャク 秋ヶ瀬公園

秋ヶ瀬公園のヒレンジャク
羽毛までしっかり見えている(方だと思う)

秋ヶ瀬公園のルリビタキ(オス)少し幻想的な感じ

秋ヶ瀬公園のルリビタキ(オス)
少し幻想的な感じ

秋ヶ瀬公園のシジュウカラ被写界深度が狭く少しボケている

秋ヶ瀬公園のシジュウカラ
被写界深度が狭く少しボケている

もちろん、どう野鳥写真が好きかは好みによりますよね😅

話を戻しまして、

より鮮明な野鳥写真を撮ろうと思った場合、

同じ明るさでも被写界深度が広いAPS-Cのレンズの方が、
向いていると言っても過言ではない気がします。

余談:フルサイズはすべてAPS-Cよりボケるのか?

SONYのミラーレスで、a7RVやa7R4という高画素機があります。
通常のSONYミラーレスカメラの画素数が2400万画素~3300万画素くらいなのに対して、このa7Rシリーズは6100万画素という超高画素数を誇ります。

SONYのα(アルファ)シリーズのフルサイズ(35㎜センサー)で一番ベーシックなのが、a7ivやa7CⅡですが、a7ivは3300万画素、a7CⅡは2400万画素です。

それに対し、a7RVやa7RⅣは同じフルサイズの35㎜センサーに、(無理やり)6100万画素分のセンサーを詰め込んでいます。なので、解像度が高い分、一つ一つの光センサーが小さくなり、取り込める光の量が少なくなるため、ボケ感はAPS-Cに近い感じになるみたいです。

仕事用の写真でも、APS-Cの方が使いやすい?

仕事で写真撮影をする人でも、

例えば、赤ちゃんや可愛いモデルさんの写真を撮るのであれば、

まつ毛にピンとを合わせ、顔の輪郭の手前や奥ではすでにボケている様な、

とろけるような写真の方が、その被写体の可愛さを引き立てられる気がしますよね。

しかし、ビジネス寄りの写真として、

たとえばセミナーの写真やインタビュー写真を撮る場合、

その人物自体はくっきりと映したいと思います。

多少偏見かもですが、大人の男性のインタビュー写真では、

キレッキレの写真の方が、その人の魅力を引き出せると思います😅

そうすると、

明るさを保ちながら被写界深度も保てるAPS-Cの方が

ビジネスよりの写真にま都合が良いのかもしれません。

また、大人数での集合写真など、

どうしても被写界深度を広げなければならない様な写真の場合にも、

APS-C機の方が都合が良い気がします。

ピントが合う位置というのは、カメラからその被写体までの距離なので、

集合写真の真ん中の人と両端の人では、どうしてもカメラからの距離が変わってきます。

そこで被写界深度を深くとるためにF値を絞る必要がでてくるのですが、

例えばF8とかF11とかまで絞ると、今度はどうしても暗くなってしまいます。

その対策として、

①シャッター速を遅くする

②ISOを上げる

などを行う必要があるのですが、
シャッター速度を遅くし過ぎると、今度は被写体が動いてしまうことによる失敗のリスクがたかくなります。
私の感覚ではシャッター速度は125以上が好ましいと思ってます。特に子供などじっとしていられない被写体を撮る時はなおさらです。

また、ISOを上げすぎればノイズが入り画質が悪くなります。

対策としては、フラッシュを使うというもありますが、フラッシュは結構難しいですし、常に持ち歩くものでもないでしょう。

しかし、もしAPS-C機を使っていたらどうでしょう?
フルサイズでF8の被写界深度をAPS-C機ならF4で作り出すことができることになります。
明るさに関しては、1段くらいだけなので、APS-C機+F4の場合、F4.6の明るさでF8相当の絞り(被写界深度の深さ)を作ることができるということ。

まあ、これを突き詰めていくと、集合写真には

超高画素数のスマホが1番適しているということになるのですがw

それだと少し味気ない気もしますし。😅

平日写真++さんの記事を読んで、

あまりボケ感を必要としないようなビジネスシーンでの撮影がメインで使うなら、

APS-Cをメインとして考えるのも方が良いなと思いこの記事を書いてみました。

いかがでしたでしょうか?

この記事が、みなさんのカメラ選びの参考になれていれば嬉しいです。

PS:
サムネイルとTOPの写真は昔使っていたNEX-7を引っ張り出してきて使いました。
操作感や機能面では現行機と比べてしまうと難しいですが、写真の出来としては、まだまだ現役な気がします😆

SONY NEX-7 and Sigma 30mm DC DN  F1.4